AnotherVision Countdown Calendar 2018

AnotherVisionメンバーによる"Countdown Calendar"を2018年もお届けします

僕は物語性が好きなのだけれども。

この記事は AnotherVision Countdown Calendar 2018 の記事です。


はじめに

 こんにちは。うみすけです。まずは軽く自己紹介をば。

  • 名前
    うみすけ(@62_stormk
  • 学年
    修士1年(2期)。来年(本当は今から)は就活です。時の流れを感じる。
  • アナビでの立ち位置
    制作進行やディレクションをやったり。最近はコラボコンテンツ制作への関与が多め。

 さてさて。
 この記事について書き始めたのは12/5は17時を回ってからでして、何を書いたらいいものか迷った訳なんですね(去年*1は前々日に決めて勢いで書いた) 

 当初の予定では、僕が今一番ハマっている遊びであるところのポケモンカードゲームの面白さ・奥深さについて書くつもりだったのですよ。*2

 ただ、あまりにもニッチと言うか、知識ゼロから読むには読めたもんじゃない内容になりそうだったので取り下げることにしました。謝罪代わりに、ポケモンカードゲームの過去のCMの動画リンクを添付しておきます。これを見れば、いかにエキサイティングなゲームか伝わるかと。
(※カードゲーム的な面白さについてはこっちの動画の方が楽しめます)

 じゃあ何を書くかなのですが、最近になって自分を見直す機会があって、「自分は何が好きなのか」というのを考えたりしまして。 せっかくなので表題の通り、僕が好きな「物語性について」のお話にしようかなと思います。
 一応先に伝えておくと、割としっちゃかめっちゃしてまとまりがあんまりない内容になってしまいました、ご容赦。

好きな物語について

 たぶん僕の好きな物語を知っている方が話の理解が進みやすい気がしているので、例示から。ただ、あまり僕自身が記憶の引き出しを開ける力に乏しいので、なんとなく浮かんだものを3つチョイスしています。

誰のことも特別に思えない少女と、他人からの好意を受け入れられない少女の2人を巡る百合漫画。得てしてガールズラブを描く作品は繊細であるのだけど、この作品は1場面1コマ1セリフに至るまでとても丁寧に心情を描いており、それでいて全体を通して一貫したテーマを元に作られています。僕は4~6巻を何度も読み返しました。

  • 狼少年は今日も嘘を重ねる

目つきの悪さから周りに恐れられている少年・五木が男性恐怖症を抱える外鯨さんに受け入れてもらうために女装をするお話。何よりもこの物語の良さは最終巻にあると思うくらい、最後に加速して収束していくとても大好きな漫画です。

Reゼロ宣伝するの何回めだよ、って話ですが。突然異世界へ召喚された少年ナツキ・スバルの、運命に抗う奮闘を描く物語です(wikipediaより)。web小説版にて第六章が最近ようやく進展し始めました。この物語は何といってもカタルシスが強いです。どうしようもない絶望と、そこに挑むに至るまでの心情変化、そして解決に立ち向かう姿勢。それぞれが僕に対してズッポシ嵌った感じ。

 他にも好きな作品はたくさんあるのですが、明日の担当者記事の下書き読んだらかぶったりしたのでとりあえずここら辺で。

「物語性」は「物語」だけじゃない

 物語性について、英訳すると何になるのかなとgoogle検索をかけたら"with a story"(ストーリーのある)とするものと"storytelling"(ストーリーテリングとするものがありました。おそらく基本的には前者の意味であるでしょうが、僕としては間違いなく「物語性」という言葉はこの2つを内包したものだと考えます。

 良いストーリーを指して「物語性がある」という言い方をするなら、それは「物語に富んだ」という意味合いになります。これが"with a story"の訳になるでしょう。一方で、明確に描写されていないが自然と想起されるような、行間を読むかのような体験をしたとき、「物語(性)を感じる」のような表現がなされます*3。これが"storytelling"にあたるということです。

ゲームの体験に落とし込んだ時の、二つの物語性

 前述の話に落とし込むのなら、例えばゲームにおいては物語体験というのは「コンテンツ側が保持する物語性(with a story)」と「体験者が作り出す物語性(storytelling)」というのがあるでしょう。

 「コンテンツ側が保持する物語性」というのは、制作者側が意図する体験の流れのこと、ゲーム内で描かれる物語そのものを指します。ゲームにおける”良い物語だった”と評される要素はここになるでしょう。
 一方で「体験者が作り出す物語性」は、そのままゲームプレイを通して獲得するプレイヤー自身の心情の移り変わりや体験そのものです。

 ボスに挑み続けるが倒せず、何回かの苦心ののちに攻略の糸口を掴み、そしてついに倒すことに成功する。そうしたとき、「ただボスを倒した」以上の感情が湧き上がっていて、それは間違いなく自分自身の体験によって生み出されている。それが体験者による体験者だけの物語性だと思うわけです。

謎解きは「物語性」の塊

 謎解きについて「物語」が話題になることは多い気がするんですけども、そのときに「物語性」にまで拡張すると話は楽になります。

 「自分はこの難しい謎解きをクリアした!」という感覚も、「謎解きを通して自分だけの体験を楽しんだ!」という感覚も、「この謎解きのストーリーがよかった!」という感覚も、暴力的な言い方をしてしまえば全て「物語性」に内包される要素になるわけですから。
 謎解きから「物語性」は切っては切れない、というよりも「物語性こそが謎解きの面白さの根源である」みたいな言い方ができるわけです。

僕は「物語性」が好き

 僕は物語性が大好きです。物語性を感じる瞬間が大好きです。とても面白い物語に会うあの感覚や、あの行間を読む瞬間や、伏線に気づいてハッとするその体験も好きです。しょっちゅう物語の主人公に自己投影や感情移入しますし、共感性羞恥とかもバリバリに感じます*4。一方で、通して読んだ後に「だからこういう描き方をしていたんだ」というような、構成の妙に舌鼓を打つ楽しみ方もいっぱいしています。

 「物語性」の含む多義的な要素の全てが好きだからこそ、謎解きに対してこうして今も制作を続けているのかもしれません。そんな感じで、こう、「物語性」を大切にしながらコンテンツ作りを続けていけたらいいなと、思うわけです。書きたいこともまだまだあります*5が、言語化に困ったりとか締切が迫っているとか色々と事情があるので、こんな感じで失礼したいと思います。余裕ができたら書き足します。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

*1:きみは「ゼルダの伝説 大地の汽笛」というゲームを知っているか。 - AnotherVision Countdown Calendar2017

*2:熱の入れ具合については、12/3に新潟まで行って公式の大会に出場する程度

*3:僕はこういう使い方をするが、世間一般にするかは正直わからない

*4:自己投影についてはこの記事がとても頷いたりしました

*5:ブレスオブザワイルドを例にとってゲームにおけるレベルデザインと物語性の話とか、僕が好きな物語の特徴の話とか。フィクション世界における人間模様が好きなんですよね。